いつかは発音の勉強しないと、、、と思っていた中年男性が、ガチで2年間発音スクールで発音矯正に取り組んだ体験記です。
1,受講前のスペック
今回の主役の限界中年の経歴はこんな感じです。
- 純ジャパ、留学経験無し
- 海外には社会人一年目から通算10年強
- ただし、ネイティブ国はオーストラリア半年のみで中東長め。
- 日系企業技術屋、日常的に仕事は英語
- 発音スクールに通いはじめたのは30歳後半
- TOEIC900台、英検1級
英検1級を受けた時の記録は下記から
2,発音スクール受講のきっかけ
我が家の長女は帰国子女で英語ペラペラなんです。そんで、リモートワークで仕事をしている父親の英語が聞こえると、こんな事をいいます。
「え、パパ、今の英語だったの?」
発音悪くて英語に聞こえないよ!という煽りですねー。これが今回発音をちゃんとやろうと思ったきっかけです。
そんな娘の英検準一級受験記録はこちら。
英会話スクールに通おうと思ったまじめな理由としては。。。
英語の中でどの要素が一番必要か?と言われたら、発音は一番ではないと思っています。大事なのは「考えを伝えるという態度」だったり、読み書き以外のところだと今でも思っています。発音なんて通じなかったら、向こうはわからない顔をするし、こっちも何度もリフレーズすればいいと。ヘルメットを被って仕事するような現場経験が多いので、議論やケンカ英語も強いし、まずは発音はいいやと後回しに。英語ネイティブ圏ではない国の仕事がほとんどだったのも発音を後回しにした理由の一つだと思います。
ただ、ちょっと偉そうですが、年齢とともにポジションが上がってくると、そうはいかないことを感じました。たとえば、オーストラリアのパースにいた時(20代)、国内の違う現場で「where are you from?」と言われて、「I am living in Perth」といっても嘘みたいに通じず("er"と"th"の発音が糞だったと今ではわかる)、「what? where is that!?」と半年の滞在中に50回は聞かれました。
でも、歳をとってくると聞き返されなくなってきました。少しは英語を喋れるようになったのと、向こうもあんまり聞くと失礼だなと思っているのか。
あるとき、事務所に冷蔵庫(fridge)おいてと何度も頼んだのに、なかなか冷蔵庫が来なくて、頼んだ相手にfridgeどうなった?といったんです。そしたら、「ところでお前が言っていたfridgeって何?」と言われました。その相手はインド人だったので、お互いbroken Englishだったんですが「なんであの時言ってくれなかった?」と聞いたら、「クライアントだし、ちょっと聞きにくくて、、、」みたいな。
あと、コロナになってリモートでの会議が増えて、言葉だけの会議が増えて必要性を感じました(特に英語が苦手な同僚の壊滅的な発音を間にあたりして、反面教師にするような)。やるなら今のうちに直さないと、と!
3,発音矯正スクールを探す
2020年9月に中東から5年ぶりに帰国し、2年は海外転勤はないと思っていたので発音スクールを探しました。その時優先したのが、以下の項目です。
- ちゃんと体系だって学べる(長年の課題なのでしっかりやりたい)。
- 成果がでるのにある程度時間がかかってもよい。ただし、月3万円くらいで抑えたい。
- 再現性があるところ。
- レッスン予約の変更とかはフレキシブルにできるとこ。
ポイント
ちなみにですが、発音にはおそらく今まで20万円くらいは注ぎ込んでいます。数か月ですが有名ところのJinglesにも通っていたのですが、金額が高いと感じたため、今回はここは除外。あと本や通信でもやったのですが(発音本、イムラン、スコットペリー等)、効果は感じなかったです。独学は無理、先生に見てもらってフィードバックは必須と感じていました。
そんななか、Discovering soundというところで体験レッスンを受け、なんとなく上記すべて満たしてそうなので決めました。
決め手としては、、、。
- テキストがしっかりしていた(結果としてそれほど重要ではなかった)。
- “Repeat after me”方式ではなく、「論理的な説明、再現性」というところに重点をおいていると説明があった。
- レッスンは「リモートで問題なく出来ます」と自信があるようだった。
- 宿題がしっかりある。
- レッスンはマンツーマン
- 授業中に先生の発声方法を動画にとって見返せる。
- 予約は二日前までなら変更可能とフレキシブル
ネットでの評判も一生懸命探したのですが、その当時はほぼなかったです。これが、今回のこの体験記を書こうと思ったきっかけです。
4,Discovering soundsでのレッスン
合計2年を超える付き合いとなったのですが、ポイントをまとめてみます。
4-1、コース概要と費用
月のレッスン回数を選べるのですが、私は月4回コースを申し込みました。体験授業の時には「ちゃんと宿題や復習をできるのなら月3回でいい」と校長の富田さんに言われましたが、モチベがすごく高かったので、月4回を選択。これを半年くらい続けたところで仕事が忙しくなり、その後は月3回になりました。レッスンはマンツーマンなので、値段はそこそこしますね。
レッスン時間は60分と40分がありますが、私のように出来が悪いと40分では前週までの宿題の確認で終わってしまうと思います(先に進めない)。この40分の選択肢に存在意義があるのかなと?きいたことがあるのですが、忙しい生徒さんでこの40分がいいという人もいるとのこと。
あと、現在はいろんなコースがありますが私が受講開始した2020年10月時点では、アメリカ英語コースしかなかったと記憶しています。
総額として払ったのは2年間ちょいで合計50万くらい。
4-2、私の先生
校長の富田さんは体験レッスンだけで、私にはある女性の先生をあてがわれました(Discovering soundsなのでD先生とします)。同じ先生がずっと担当となるで、相性は大事なポイントです。ちなみに校長の富田さんは基本は対面のみのようです。
通学とリモートをまず選択するのですが、当時はコロナまっさかりだったので、また立地的に教室までの通学に1時間はかかりそうだったので、リモート一択でした。リモート用の先生は二人いらっしゃって、もう一人は主に時差の関係から海外の生徒さんを見ていると聞きました。
私のD先生は純ジャパで、留学経験等は無く、Discovering soundsの元生徒さんです(当時の最速記録でDiscovering soundを卒業したとか)。「熱心で、一押しの先生です」と校長から言われたのですが、自分にあっているかどうかはその先生で一度体験を受けるべきです(これができるのかは要望を出してみないとわかりません)。
4-3、授業の様子
私は初回以外は完全オンラインでした。
最初は月一回は通おうかと思っていたのですが、一か月目でオンラインでも先生が工夫して舌やのどがわかるように進めてくれるのでリモートでまったく問題を感じなかったためずーとオンライン。レッスンの媒体はSkype > Zoom > Google linkと変わっていきました。
60分授業の流れですが、、、
- まずは世間話
- まずは前回の宿題を自分が読む
- 厳しい指摘
- 新しいところのポイント説明
- その部分の例文を読み合わせ
- 宿題部分の例題を先生が読むのでパソコン腰にスマホで動画撮影
授業中の厳しいフィードバック以外にも、レッスンごとにgoogle documentが共有されていきます。レッスンでの一回目の出来栄えと宿題の出来栄えの評価も。
そして、鏡は必須です。口の形を常に見ながら、授業を進めます。授業中はこんな感じのポジショニングとなります。
D先生は熱心でした。そして若干怖い。妻がとなりで「かなりマジな先生だね」というくらい。一日5時間連続とかやっているようで、60分授業のが5コマ連続の日はトイレにも行く時間ないのではと心配になりました。
4-4、カリキュラムとテキスト
テキストは全部で11冊あります。ざっくりとした流れとしては、、、
- 初級は7冊(7-1級)、これ終わっただけだとダメです。口の動かし方と単語を学ぶ。
- 中級、A級(A1 、A2)、2ワード以上の文を練習。
- S級(S1- to S2)、センテンス、ダイアローグを学ぶという感じです。
カリキュラムはこちらから。Discovering soundsの公式ホームページにアメリカ発音7級が公開されています。
テキストにはそれぞれ発声方法やポイントがのっています。発声については3Dの写真で、喉や舌の位置について、かなりページ数を割いているので、自分は体験授業でここは役立つなと思いました。でも、実際は先生が毎回レッスン最後に口の動かし方や例文の動画を撮られてくれるので、必要なかったです。
ポイント
ボリュームはテキストによって、結構差があって、1か月で終わる級もあるし、3か月かかる級もあります。全部で1年半から2年くらいで終わるカリキュラムのようです(月3回か4回でペースは違うが)。テキストは1冊当たり1000-2000円くらいかかって、PDFも選択できます。自分はがっちり書き込むタイプなので紙一択。
4-6、宿題と毎日の練習
宿題ですが、なかなか上手くできています。この学校の特色と言っていいと思います。
レッスンの最後に先生の動画を5分くらい撮って、次のレッスンまでにそれを見ながら、発声を再現できるようにひたすら練習します。リモートワーク中心だったので、昼休みの食後に10-15分は練習して、鏡を持ちながらほぼ毎日やりました(旅行中もテキストを持っていく)。動画はスマホに入っているので場所を選びません。他に必要なのはテキストと授業中と同じく鏡です。
プラスで発音記号をテキストにしこしこ辞書を引いて書き込みます。これ、結構時間かかる。これも週平均1時間くらいはかかったと思います。
それと、ポイントを自分でまとめました。おぼえやすい順番や流れはひとそれぞれあると思うので、何度も注意されるポイントは自分でもまとめました。
ポイント
ちゃんと宿題をやっているのに、途中で思ったより効果が実感できない時がありました。その時見直したのですが、動画を見るときはイヤホンをつける、一度先生の音声を聞いてから自分が発声するようにしたりしました。個人的にはこの復習をどれだけやるかが要だと思います。
4-5、コース終了
合計2年3か月で全カリキュラムを終了となりました。レッスン回数は上記のgoogle documentの表で調べてみるち全94回でした。さぼりは2回ほどあったのですが、先生の好意で違う日にやってくれました(一度は先生が勘違いしてさぼられたこともあった)。全体通して、予定変更をお願いしたのは5回くらいだと思います。
5,Discovering soundの良かったところ
5-1,総論
発音は独学では無理です。アプリでも無理です(ここもオリジナルアプリを作っているけど)。
やはり、どこが間違っているか教えてくれて(ここまではアプリでも可能)、かつ、どうやったら正解に近づくのか教えてくれる人が必要だと痛感しました。この点Discovering soundsは最適でした。
ELSAは自分もこのスクールに通う前にやっていましたが、自分の発声が正しいか、間違っているかは判定してくれるけど、間違っていた場合にどうしたら正しい発音になるかは教えてくれません(これは100回くらい言いたい)。
5-2,長年の疑問だったポイント
また、今回の2年で明確に良くなった、わかったと思うところは以下の通りです。
- L,Rの発音方法
- メジャーな子音/θ//ʃ/s//ð/とか
- 子音発声後の中間音について
- 二重母音(おあひき、おあぴよと読んでいます)
- rの2種類の発音の仕方
- glottal t, d, n, nd (舐める),
- 飛ばすt,d,p,k
- forgotten当のttの発音
全般的に子音は大きく改善されたと思います。あと、オンライン英会話(Cambly等)のレッスン中、「今のthは弱い」や「Lではなく、Rに聞こえた」と先生に言われても、「あぁ、確かに今のRはLで発声しちゃっていたかも」。「Thはさぼったな」と自分でもわかります。また、Rの発音は2つあるのですが、readのRとnteacherのerでどう発声しているのか明確になります。これは大きかったです。
あと、
- 三単現、複数形のsの発音方法の違うStops, sees, lots,headsの”s”の発声の違い
- likedとWorkedのedはtで発音するけど、decided のedはdで発音する等の違い
とかは、一生物だと思います。
わけもわからず先生の発音を真似する”Repeat after me”方式ではないので、自分が本当にできているかわからないと思うとすぐに、「今のは舌の位置が浮いている、定位置にない」というフィードバックが厳しく来るので、発音については(発音記号とあわせて)だいたいわかるようになった自信はあります(ちゃんとできているかは別)。D先生は純ジャパでしたが、発音についてはきれいで(これは前述の帰国子女も言っていました)、ちゃんと卒業をすればこうなれるというロールモデルがいる感じです。
5-3、発音記号について
ちょっと触れましたが、テキストには発音記号が記載されておらず、生徒が書き込む事を期待されます。これ、結構大変な作業。忙しい人にとってはこれだけで結構きついのではと?
ただ、その分、メジャーな単語の発音記号は暗記しちゃいました。また、発音記号は見ただけで8,9割は口の動き方がわかるようになります。苦手な記号については見ただけでどのように注意して発音しないといけないのか、少なくとも頭ではわかるようになりかす。ここが一番の収穫だと思いました。
6,もう少しのところ
6-1,ネイティブには程とおい。
これはわかってはいましたが、私の英語はネイティブにはほど遠いです。
2年かけて、かつ、結構毎日勉強したのでかすかな希望はあったのですが、ここは厳然たる事実です。ネイティブから一発で「お前日本人だよね?」と言われます。間違えても、ネイティブに間違われることはありません。
6-2,シュワの発音
ə/ (Schwa)については入学前でも知っていましたが、結局こいつはものにできませんでした。テキストも丸々1冊がこの ə/ (Schwa) の解説していますし、D先生も一生懸命説明してくれましたが、ダメでした。
はっきり発音の母音と、この省エネシュワの聞き分けはわかりますが、自分で発音は区別できませんでした(先生は「ちゃんと発声できてるよ」といってくれましたが)。
6-3,入会時の説明
ウェブページに下記のような情報ものっていますが、自分は受講中一度も聞かれませんでした。統計ちゃんとしているのかちょっと疑義
ポイント
それと、これは期待していたのですが発音を体系的に学ぶことでリスニングが上達するとおもっていましたが影響はあまりなかったと思っています。
7、 受講後の成果 Before/After
7-1、音声比較
さぁ、ここで入学時に撮ったビデオと、卒業時(2年3か月後)に撮ったビデオの比較あります。いざ!
ちなみにこのビデオを前述の娘(ネイティブ)に見せたところ、「え、ダメ(これじゃお客さん来ないよの意)」との事だったので、あんまり良くないのでしょう。
ただ、音だけ聞くと、そりゃ一杯勉強したので流ちょうには聞こえます。歌と同じですね、いっぱい練習すればそれぽっくはなります。卒業時にはこれを撮ると知っていたので、結構練習しました。
7-2,英検
ちなみに受講中に受けた英検1級2次試験を2回受けたのですが(1回目は受講4か月後、2回目8か月後)、発音の項目は10点満点で6点→7点でした。
7-3、発音テスト受講
これはafterしかないのですが、EPT® 英語発音テストを受けた結果は62点でした。
8,現在
ネイティブの発音にはほど遠いです。こちらの体験談をみると、「ネイティブライクに発音できるようになった」「抜群の効果」と書いてありますが、自分はそこまでの効果は実感できませんでした(もともと海外で長く働いていたのでそれがどれだけ難しいかはわかってはいたのでそこまで期待してはいませんでした)。未だにオンラインレッスンでは日本語英語と捉えられていると思います。未だにRが弱いと言われるのはショックですが。
ただし、前述のような日本語英語であったとしても子音や母音の基本はある程度は身に着けることができたのでは、、、と思います。