企業にお勤めの方で、こんな感じの封筒が年に数回、届きませんか?そうです、企業年金型の確定拠出年金の報告書ですね。今、いくら、どこで運用しているか把握していますか?
今回10年ぶりくらいに自分のアカウントにログインしたのですが、なぜかネットで取り扱い金融商品の情報が全くない。そのため、スイッチング手続きに難儀しました。しかも、自分が10年積み立てていたファンドがク〇すぎてびびりました。本当に〇ソ金融商品。
ネットではそもそも取り扱い商品、ファンドの一覧がないので自分で調べましたが、調べれば調べるほど、闇が深すぎて、当サイトのうんばぼ投資レベルだということを理解しました。

確定拠出年金の企業型
いわゆるDC(確定拠出年金、Defined Contribution Plan)と呼ばれるものには2種あって、今回紹介するのは下記の1番目(企業型)の方です。
今回の記事は2番目の方はちょっと違います、探している人はごめんなさい。
注意
- 企業型
掛け金:会社が退職金代わりに出す
月額掛け金:最大1-5.5万円
運用機関:企業(勤め先)が指定、手数料は基本かからない。 - 個人型(IDECO)
掛け金:個人が出す
月額掛け金:最大2-3.5万円
運用機関:個人がIDECOを扱う銀行を探して契約。手数料が月数百円かかる。

どちらも、拠出する金額が最初に決まっている(確定拠出)ので、確定拠出年金といわれ、実際の支払いは運用成績に左右されます。その反対に、もらえる金額があらかじめ決まっているのが確定給付年金で、ひと昔前の日本の退職金、年金制度はこちらでした。このゼロ金利で、確定給付型なんて維持はできず、できたとしても、ほとんど増えないしょーもない金額になってしまうわけで、個人が責任をもって運用先を選んでねというのが確定拠出年金ポイントですね。
どちらも拠出期間中は、払い戻しができず、退職後になって給付が始まります。その縛りがある分、運用益の税金はタダ。詳しくはこちらを見てみてください。
確定拠出年金に関係する登場人物の確認
確定拠出年金のアカウントにログインする前に、企業型の年金の登場人物を整理します

1.あなた(お客様)

掛け金は100%株式、ほとんど米国株のインデックス一本で行きたい。債券とかローリスクローリターンのものには配分しない!手数料に勝つぞ!
2.確定拠出年金運営管理機関(レコードキーパー)
企業からの掛け金情報と、個人からの運用配分指示を結び付けて、運用商品提供機関に指示を出す役目。レコードキーパーと呼ばれるらしいです。
憶えていますか?この封筒、これはレコードキーパーであるJIS&Tから来ています。ここが勤め先からの情報とあなたの情報を管理しています。

ただ、JIS&Tは運用はしていません。運用会社との繋ぎの役割なんですね。お金もここにはありません。彼らの仕事はお客からの、買い付け配分やスイッチングを運用機関に伝える役目です(なのでレコードキーパー)。世の中に数社、レコードキーパーありますが優劣差は運用成果に関係ないですね。
手数料をもらって、記録の管理、運用成績の定期的な配布をしています。
レコードキーパー
- JIS&T
- NRK
- SBIベネフィット・システムズ株式会社
- 損保ジャパンDC証券株式会社
3.運用商品提供機関(証券会社とか)
実際に運用商品を持っている会社。レコードキーパーから、どの商品で運用をするか指示を受けて、運用する人。実際にお金が存在しているのはこちらで、運用商品の成績を左右する人たち。
代表的な機関
頭におもいつくような証券会社なら大体全部
サイトにログイン
ということで、レコードキーパーのサイトから運用状況を見てみましょう。私の会社はJIS&Tと契約しているので、JIS&Tにログインします。

しょぼい感じのサイトですが、これからが本番のショボさです。
ログイン後、今の毎月の拠出金額とか、現在の時価総額とかはわかります。10年近くやっていると思うんだけど、毎年10%弱の利回りは悪くないですね。そんでも、毎月の拠出額は1万円くらいなんで、10年たっても200万にしかなっていません。定年まつみたてるんだろうけど、老後にこれで2000万は厳しいですね。

ポイント
- ログインとパスワードがわからなくなったら、半年に一回届く資料に入っている会社に電話をすれば、再発行してくれます(郵送)。自分は海外が長かったので、チャンスが無かったけど、帰国のタイミングでついにIDとパスをゲットしました。
深刻にヤバい取り扱いファンド一覧
ここからが本番。10年ぶりに入ったので、投資しているファンドの運用状況を確認して、買い付け分配を変える、またはスイッチングをしようと思います。
下記は取り扱いファンド、このほかに定期預金タイプ(ようは元本保証)があるけど、投資と言えるのはこれだけ。16本だけ?

これらのファンドの詳細がわからないと、比較もできません。でも、ネットで"JIS&T 取り扱いファンド 詳細"と検索してもなぜーか出てきません。”こんな話題誰も紹介していないだろう”と思っても、どこかの誰かは詳細に紹介しているはずのインターネットの世界なのに、全く見つからない。
一応、上の画面で商品をクリックすると下記の画面が出てくるんだけど、知りたいのはそれじゃない。インデックスなら、手数料見せて。そこだけだよ、知りたいのは。

取り扱いファンド一覧
ということで、わざわざ一会社員である私が、JIS&Tで取り扱っている16ファンドについて頑張ってまとめました。ご査収ください。
商品 | 報酬年率/ 解約時 | 主な運用先、ベンチマーク | |
---|---|---|---|
012 SMTAM・日株インデックスL | 0.209%/ 0.2% | TOPIX | パッシブ |
013 フィデリティ・日本成長株 | 1.683%/ 0% | TOPIX | アクティブ |
014 DCダイワバリュー株オープン | 1.672%/ 0% | TOPIX | アクティブ |
2015 損保ジャパングリーンオープン | 1.65%/ 0% | TOPIX | アクティブ |
016 SMTAM・日債インデックスL | 0.132% 0.100% | NOMURA-BPI 総合 | パッシブ |
017 SMTAM・外株インデックスL | 0.275%/ 0.2% | MSCIコクサイ | パッシブ |
018 大和住銀DC海外株式アクティブ | 1.782%/ 0% | MSCIコクサイ | アクティブ |
019 DIAM外国株式オープン | 1.859%/ 0.3% | MSCIコクサイ | アクティブ |
020 SMTAM・外債インデックスL | 0.253% 0.100% | FTSE世界国債 | パッシブ |
040 DIAM新興国株式インデックス | 0.5995% 0% | 新興国株式 | パッシブ |
041 野村世界REITインデックスF | 0.363% 0% | 先進国REIT | パッシブ |
021 DIAMバランスF・安定型 | 0.286% 0% | バランス | パッシブ |
022 DIAMバランスF・安定成長型 | 0.319% 0% | バランス | パッシブ |
023 DIAMバランスF・成長型 | 0.352% 0% | バランス | パッシブ |
024 三菱UFJDCオートマくん | 0.66% 0% | バランス | アクティブ |
042 SMTAM・コアラップA | 1.1% 0% | バランス | その他 |
迷ったんだけど、運用成績は上のテーブルには載せませんでした。長期運用において、それは本質じゃないから。
突っ込みどころ満載ですが、少し見ていきましょう。
取り扱い少なすぎる
取り扱いは全部16本だけです。この他に定期的なやつは10個くらいある。定期的なやつをなんでそんな必要なの?確定拠出年金の趣旨にあわないよね?
Wikipediaによると、運営管理機関又は事業主(ようは雇い主、企業側)は、運用の方法を規約に従って、
- 少なくとも3つ以上の商品を提供し、
- そのうち一つは元本保証が必要なとのこと。
- 提供できる商品は最高は35以下。
これ、いったい誰が得するルールなんでしょうか?
なんで、リートは先進国一択しないのか?なんで株式途上国は一つしかなくて、地域で選べないのか?世界株はあるけど一つだけ、アメリカ株だけとか、高配当とか選べない。
旧式のカップラーメン自販機なみの品揃えです。海外の運用会社はゼロ、それも何か忖度を感じる。

手数料高すぎ
20歳前後から60歳以上まで途中解約無しの長期投資なんだから、手数料は超重要ですね。スイッチングもできるので、再投資で税の繰り延べをやっていきます。
それなのにインデックスでは最低でも0.2%代の手数料。現在、有名ところのblacklockやVanguardは0.1%代で株式投資をテーマごとに提供しています。それに比べて、日本株のトピックス連動でも0.2%代。
アクティブ型は1%以上と論外。唯一の救いはすべてノーロードではある(購入時の手数料はゼロ)。まぁ、そりゃそうだよね。
インデックスインデックスインデックスの一択
長期投資でアクティブとインデックス(パッシブ)、どちらを選ぶますか?自分はインデックスの一択。
それなのに16本中にインデックスは9本。ほぼ全部インデックスでもいいくらい。特にここで提供されているアクティブは手数料1.5%と極悪。
なんか、営業的なにおいがプンプンする。本当にこれが企業年金ってことわかってやっている?サービス提供している?それとも証券会社に忖度しているの?
アクティブはそんなにダメ?
掛け金の10%とかなら、アクティブも楽しいかもしれません。
考え方はいろいろあると思うけど、自分はアクティブはほぼゼロですね。
理由は30年間、運用がたまたま上手くいき、ベンチマークに対して大きく上回ったファンドがあったとしても、(同様の理由で)定年前の数年でたまたま半額になる可能性もあるからです。
リバランスをちょくちょくしていき、上手く言った分を一回崩して、他にリバランスというのも妙案に見えますが、そんなタイミング素人ではわからないし、数か月ごとにログインしないといけないのは嫌です。この程度の金額なので忘れたことにしていたい気分です。
まとめ
証券会社としてはこの運用先リストに載せられているだけで無条件に有利なんだから、もっといいやつを選べと。とうか、このリストに載るために、手数料を下げるとか、それくらい求めろ。誰のためのサービスなのかわからなず。
このショボい取り扱い商品は誰が選んでいるのか?
ここで疑問がわいてきます。こんなダメダメな商品を選んだのは誰なのか?と。
結論から言うと、実はこの確定拠出を提供している企業(あなたの所属先)が運用商品を決めているからのようです。
頭にきて、JIS&Tにメールして、一体この運用先は誰が選んだのか?と訊こうと思ったんだけど、前述の元本保証型を最低1つ入れとかのルールとか、ホームページ内で確認できる運用規約とかを見るに、これは自分の勤め先の問題だなぁと理解しました。
前述のJIS&Tのほかに、勤め先は三井住友信託を資産管理契約を指定しているようで、ここにログインすると金融商品のもう少し詳細な情報が見えます。そのメニューには制度の情報というのがあり、

ここをクリックすると、会社の企業年金規約が見れます。PDFでありました。

中身は42ページで眠ったいないようですが、調べたいポイントとしては下記のように書いてありました。
要約するとか以下の通り、
誰が商品を選んでいる?
1、加入者等にとって真に必要なものを厳選した上で 3 以上かつ 35 以下で選定及び提示する。
2、この際、加入者等の選択の幅が狭められることなくリスク・リターン特性の異なる運用の方法が選定及び提示されるために、同項の表の中欄のうち 3 つ以上の区分から選定することとする。
3 、加入者等に選定及び提示される運用の方法は、その運用から生ずると見込まれる収益の率、収益の変動の可能性その他の収益の性質が類似していてはならない。
4 、委託先運営管理機関は運用の方法を提示するときは、選定した理由を加入者等に示すものとする。
加入者等の選択の幅思いっきり狭まってますよ。
手数料の高いアクティブばかりで、収益の変動の可能性、狭まれていますね。
運用の方法って提示されたんでしょうか。闇を感じます。
ポイント
ここまで見てきた通り、あなたのお勤めの企業の基金によって、取扱商品は大きく異なります。
こればかりはあなたの企業の企業年金を作るときに、少しでもマネーリテラシーがある担当者が運用商品を選んだことを祈るばかりです。
現在の投資配分割合と運用成績
ということで、下記が一昨日までの成績です。運用成績はまずまずだけど、運用先の分配割合と手数料は以下のようでした。
ポイント
- SMTAM外株インデックス:年間手数料0.275%:投資配分30%
- SMTAM日株インデックス:0.209%:30%
- SMTAM外債インデックス:0.253&:20%
- 損保ジャパングリーンオープン:1.65%:10%
- DCダイワバリュー株オープン:1.672%:10%

で、この10年間の成績とベンチマークとの比較はこれ。

10年前の当時の自分へ、、、
1番と2番で株式に65%の配分にしたのはgood jobでした。1番は約3倍に。
けど、4番目と5番目の手数料くらくらします。しかも、どちらも成績悲惨、ベンチマークよりかなり下(投資の教科書に載っているインデックスとアクティブの比較みたい)。4番を選んだのはなんか若さを感じますね。
10年スイッチングしていなかったので、外国株は割合が変わっちゃっています(30%>35%)。
まとめ
なので、スイッチングして下記の分配割合に変えました。
新興国の手数料は結構高くて、0.5995%するけど、長期で見ればリターンはとれるだろうという事で。あと、外国株の割合を50%にしました。今のタイミング的にはちょっとプチバブルなのは間違いなく、調整が入ると思うけど、ドルコストで長期ということでこの割合に。

注意
自分のように10年近く開いていなかった人は是非とも、当時の自分がどのような判断をしたのか確認してみてください。当時の自分より、今の自分が賢いとはいえないとしても経験はよくも悪くは増えているのではないでしょうか。
このまま長期運用のセオリー通り、投資したことは忘れたことにして、次は2年後くらいにログインしてみようと思います。それまでに勤め先は、運用先を増やしてくれないかなぁ。